月単位のアーカイブ: 10 月 2008

ケアをとおして世代交流を

 「介護」というと、入浴、排せつ、食事などの三大介護として理解する向きがあるようです。

 確かに、介護サービスのなかに占めるこれらの業務が大きなウェートを占めていることは否定しませんが、私たちの介護の最終目的はそれだけに尽きるものではない筈です。

 介護保険法はその目的として、利用者の方々がその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるように支援すべきと規定しています。

 有名なミルトン・メイヤロフは著書「ケアの本質−生きることの意味−」のなかで「ケア」とは相手が成長し、自己実現することを助けることであり、相互信頼の深まりとともに、互いに成長するものなのだといい、あたかも両親が子供を、教師が学生を、夫が妻をケアすることと共通のパターンなのですと説いています。ケアを通して、お互いに成長していくことが「ケア」の理念であり、理想なのです。

 そこで、介護、つまり「ケア」のプロとして働いている私たちは、この理念にどのようにして近づけることが出来るでしょうか。もちろん、毎日の三大介護も欠かせませんが、それに加えるプラスアルファは何でしょうか。

 利用者の方々は介護する私たちの年令よりも三〇才から六〇才以上も年上であり、こういう方たちとどのようにしたら人格的交流が出来るでしょうか。共通の話題、時代を超えて共感できることとして、今日は一つの提案をします。

 それは高齢の利用者も私たちも親に抱かれながら歌った昔からの童謡を共に歌うことです。

 そして、その歌を通して生きてこられた時代の物語を利用者から語っていただいたらどうでしょうか。

 出来れば互いに手や腕を組みあって歌い、いのちの連らなりを実感してはどうですか。

 私たち若年者は人生の(せん)(だつ)の語りを傾聴し、受容しながら共感することが出来れば、これこそ真の世代交流となるでしょう。

平成20年 第2回福祉事業経営セミナー(熊本)

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日時:平成20年10月27日(月)12:50~16:45
セミナー:平成20年 第2回福祉事業経営セミナー(熊本)
テーマ:『福祉施設 激動期の危機管理』
会場:熊本市流通情報会館5階第2研究室
講師:祐川 尚素 氏【㈲シナジーワークプランニングセンター 所長】

≪完了≫


会場の様子

見学者の受け入れ方

 介護施設や有料老人ホームなどへの見学は入居を考えている人にとっては不可欠な準備活動の一つであるといえます。従って、電話で予約してくる人、いきなり訪ねてくる人、紹介状をもってくる人など様々です。

 これは職員にとっても、結構、やっかいな業務でもありますが、特別な事情でもない限り、喜んで迎え入れるようにしましょう。

 介護保険後は利用者やケアマネージャーの評価や、世間様の風評などが利用申込みに大きな影響を与えるようになっていますから、普段から施設運営全般に(わた)って緊張した対応をしておくことが大切だと思います。

 施設内の整理整頓、清潔さ、設備の充実度、職員スタッフの明るい表情、きびきびした動作と共に温かさがにじみ出るような態度、そして、何よりも入居者、利用者の方々の安心した笑顔、笑い声、豊な生活を組み立てるクラブ活動や、地域の人たちとの交流のプログラム、ボランティアの人たちの楽しそうな働きやスキンシップの数々…これなら入居したいなあ、ここなら人生の最後を(たく)せるなあと感じていただけるような施設の生活づくり、運営…

 私たちの老いたお父さん、お母さん、そして自分自身が入所したくなる、そんなマイホームづくりに努めましょう。

 今日も、見学者の鋭い観察の目を意識して笑顔で努めましょう。

 

 

コンプライアンス

 最近は福祉、介護界による営利企業顔負けの不正、不当、違法な事件が報道されています。

 私たちはこの狭い介護現場のなかでバレなければいいんだ、バレる筈がないんだ、といった甘え感覚で仕事をしていないだろうか。

 特に人のからだ、いのち、暮らし、生活に関わる仕事をしている私たちは、研ぎ澄まされた良心とあらゆる不正、不法への誘惑を断ち切る勇気、胆力(たんりょく)を持ち合わせていなければならない、といつも自省するようにお互い努めましょう。

 各自が日常の業務をこなしているなかで、これは変ではないか、おかしくないか?と思うような事柄に気付いたとき、例えそれが職場の慣例として行われていることであっても、仲間うちで話し合い、あるいは上司、施設長にでも告げに来てほしいと思います。

 内部告発をする前に、おかしいと思う実態を述べ合い、上司にも話してください。

 大事なのは良心的とか社会正義とかを自分ひとりの判断にのみ委ねず、信頼できる仲間たちの考え方、見方、判断、観察など幅広い視野を加えた上で行動する賢明さを、お互い持つことではないかと思います。

 今日の目標は、職場のなかにどんな小さなことでもコンプライアンスに反する行為、慣例がないかを点検し、話し合って仕事の改善を図るようにしていきましょう。

ベッドサイドの飾り物

 個室であろうと、相部屋であろうと、各利用者のベッド周りには床頭台があり、また頭の上などには壁が拡がっています。

 このベッド周りはおひとりお独りのプライベートゾーンであり、ご本人はもちろん、訪ねてこられるご家族の方々が飾ることが出来る自由な空間、拡がりということになります。

 床頭台には湯呑み茶碗とか、本とか日常手を伸ばして使うものを置き、頭上の壁には家族の写真が貼られたりしています。

 これらの置き物、貼り物を目にする私たち介護者は、そこにその利用者家族の生きた歴史や家庭での過ごし方の個性を見ることが出来ます。

 と同時に私たちはその方々の人生の物語を読むことが出来なければなりません。

 「この方はお孫さんですか」

 「お若いときのお写真ですね」

 「お孫さんのご結婚写真ですね」

 こうした声がけこそが、その方々が自分を物語るきっかけになるのです。

 私たちは、お一人おひとりの人生の物語に耳を傾けながら、「大変でしたね」「すばらしいですね」などと共感しながら、その方から人生のあり方を学ぶべきです。

 そして、こんなにすばらしい方々の人生の最後を飾って差し上げるべき使命の重さを再確認していけたらいいなあと思います。